OADG海外通信(Vol.17)
(2004.03.01)


ついに秒読み?Googleの株式公開

いまウォールストリートでは、サーチエンジン企業Googleがいつ株式公開(IPO)に踏み切るかに投資家たちの熱い視線が集まっている。IPOが行われれば1995年のNetscapeのIPOに匹敵するインパクトは確実と見られるだけに、投資銀行から一般投資家まで公開株を手に入れようと必死だ。この大型IPOが ITバブル崩壊からようやく立ち直りつつあるIT株式市場をさらに促進するのか?それとも第2のITバブルを引き起こすのか?投資家ならずとも目が離せない状況となっている。

準備完了、早ければ3月にも
昨年からGoogleのIPOの噂は何度となくあったが、その度に同社の幹部はIPOの予定はないとコメントしてきた。しかし今年に入り、サーベンス・オクスリー法(Enron および WorldCom の不正会計処理事件を受けて新たに制定された米国企業改革法、企業の財務資料に虚偽の陳述があった場合、企業の役員が個人として責任を問われる)による会計監査をパスしたことで、IPOに向けての最後のハードルもクリアし、全ての準備が完了した状況となった。また最近、英国のファイナンシャル・タイムズは、GoogleのCFOが複数の投資銀行と接触した結果、近々にもIPOする可能性が高いと報じており、早ければ3、4月にもIPOが実行されるという憶測も拡がっている。

時価総額200億ドル
Google がどういう時価総額をつけるかについては、20億ドルから200億ドルまで様々な予測がある。しかし、複数のアナリストのコメントを平均すると、40-60億ドルという線がもっとも有力のようだ。

Googleはまだ非公開企業なので公式な財務情報は分からないが、アナリストによると、同社の昨年の売り上げは7億から10億ドル。また利益率は非常に高く、昨年の利益は1.5億ドルから3億ドルと見られている。このように右肩上がりで業績を伸ばし、利益も十分に出ているシリコンバレーの期待の星である同社にどんな高値がついても不思議ではない状況なのかもしれない。しかし、もし200億ドル(実に日本円で2兆2000億円)ということになれば、NetscapeのIPO時の時価総額である20億ドルと比較しても、実に10倍の額となる。

IT株式市場への影響
GoogleはITバブル崩壊後の初の大型IPOであり、Apple Computer、Microsoft、Netscapeなどと並ぶ歴史的なIPOになるのは確実だ。上手くいけばIT業界を第1次ITバブルの崩壊から完全に救い、IT株式市場の成長をより顕著なものするだろう。

反対にGoogleのIPOで一番心配されるのは、Googleの株価が過小評価されることではなく、余りにも実体とかけ離れた時価総額がつくことだろう。そうなれば第2のITバブル崩壊を導きかねない危険性をはらんでいるからだ。

Forrester Researchのクルーニー氏は、「時価総額が60億ドルなら丁度いいが、150億ドルとなれば、第2次ITバブルの匂いが漂ってくる」とコメントしている。

確かに検索エンジンの分野でGoogleが技術的に優位に立っているのは間違いない。しかし同社が将来的には苦しい立場に立たされることも容易に予想できる。まず検索エンジンだけでは成長に限界があるし、かといってYahoo、Microsoftとのポータル競争を勝ち抜くのは容易なことではないからだ。

もっともGoogleの幹部たちは、冷静に将来の戦略を分析しているに違いない。むしろ冷静にならなくてならないのは、目先の利益ばかりを考えて、既に馬鹿騒ぎをしている投資家たちのほうで、このIPOの成否は投資家たちの冷静さにかかっているのかもしれない。


関連URL:
Google (http://www.google.com)
Forrester Research (http://www.forrester.com

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